ヘッドハンティング転職の意味と、成功させる方法【後編】

目次

【この記事でわかること】

・ヘッドハンティングの流れの一例
・ヘッドハンティングで転職をするメリット、デメリット
・ヘッドハンティング転職の成功例・改善例
・ヘッドハンティングサービスの選び方
・ヘッドハンティングサービスの総括

【最初に結論】

ヘッドハンティングを通じた転職には、メリットとデメリットの両方があります。
自身や自社にマッチした活用方法が重要です。

ここではそれぞれを整理してみましょう。

【ヘッドハンティングの流れの一例】

そもそもヘッドハンティングとは、企業が事業成長や課題解決を解決するための人材を採用するために、自社もしくはヘッドハンターを活用して、転職を促すことを意味します。
特定個人を採用しに行く場合もありますし、自社ニーズを満たせるスキルセットや経験を持つ個人を言語化して、数名〜数十名の候補者をリスト化。
そのリストで、改めて採用ニーズを整理し直した上で、候補者の方々にアプローチをしていきます。
当然アプローチをした全ての候補者に会える訳ではないです。「転職を考えていない」「そもそも、その人との連絡が取れない」などのケースも多いです。
また、ようやくお会い出来たとしても、話をした上で断られる場合や、会ってみたら採用ニーズと違った、という結論になることも多々あります。

あくまでヘッドハンターを活用した一例ですが、
・企業の採用ニーズを持たせそうな候補者のリスト化に50名
・再度の打ち合わせで30名に絞る
・アプローチしてヘッドハンターがお話が出来るのが10名
・企業側に、お引き合わせることが出来るのが3名〜5名。
・そのうち、最適な候補者にオファーを出し、ダメなら次の候補者にオファー
といったイメージです。

上記は凄くシンプルなイメージです。入社後のフォローや、事前の(戦略)コンサルティングなどで、膨大なノウハウやサービスを提供しているプロフェッショナルファームもあります。
また、これらは企業側もヘッドハンター側も膨大な打ち合わせ時間や、候補者のリストアップ、アプローチ、アレンジに時間がかかります。
ヘッドハンティングにリテーナーと言われる前金が発生するケースがあります。
これは、上記の時間や労力への対価です。
また、ヘッドハンターを「サーチファーム」と呼称する場合もありますが、これは、「探す(サーチ)」というものが非常に難しく、価値が高いことを表したものだと思います。

【ヘッドハンティングで転職をするメリット、デメリット】

▼メリット
・高いマッチング精度: ヘッドハンターは企業の事業成長や、そのために必要な人材像を把握している事が多いです。その具体的なニーズに沿って提案される職は候補者のスキルセットやキャリアの目標と高いマッチングを示すことが多いです。
・キャリアアップの機会:シンプルに、現職や他社よりも良い環境でなければ転職する必要がないため、転職によってキャリアアップや給与アップを実現できる可能性があります。
・スムーズな転職活動: どのような情報を収集するか、どのように自分の考えを整理して言語化するか、どのように自分が判断するべきか、条件や入社日などの調整の仕方などは多くのヘッドハンターはノウハウを持っています。
・壁打ち相手: 転職やキャリア、年収などについては知り合いに言いづらい部分があります。プロとして話を聞いてもらえること、情報を外部に出さないことなどは、多くの人達にとってはメリットになるはずです。

▼デメリット
・ヘッドハンターとの相性: 多くのヘッドハンターは、関係している企業や候補者のために、全力で考えて動いてくれていると思います。ただ、そのヘッドハンターと考え方の相性が合わない場合もあります。例えば、私の場合、「所属よりも、価値創出」と言っている分、「次の会社で骨を埋めたい」「仕事内容よりも、ワーク・ライフ・バランスを重視します」という人とは相性が合わないです。短期的にそれを実現することが出来るかもしれませんが、長期的に考えるとそれらの考え方が、その候補者のためにならない場合が多いからです。
・その企業と合うか: 企業側の社風や経営陣やメンバーとの相性は確認が必要です。今後、長い時間を一緒に過ごせそうか、近い価値観で物事を判断出来るかを、面談、面接、会食などを通して擦り合わせする必要があります。
・目標が合うか:例えば、事業部の売り上げを2倍にするという目標で入社をした場合でも、そのスケジュール感が3年なのか、5年なのかで意味合いが全然変わってきます。仕事内容やポジションを確認するだけではなく、実際の成果やタイムスケジュールも擦り合わせをした方が良いと思います。
・転職のタイミング: ヘッドハンティングは企業のニーズに基づいて行われるため、候補者自身が転職を考えているタイミングと必ずしも一致しない場合があります。仕事の進め方や引き継ぎなどで調整が必要になってくることもあります。

要約すると、全ての判断は自分が出来る部分が多いので、それほど大きなリスクはないと思います。ただ、間違った認識をして入社をすると、お互いにとって不幸になるので、擦り合わせをした方が、成功する確度は高まると思います。

【ヘッドハンティング転職の成功例・改善例】

転職で一番重要なのは転職前ではなく転職後です。弊社では数多くの求職者様・企業様のヘッドハンティング支援をしてきましたが、それぞれの成功例・失敗例を紹介したいと思います。

▼ヘッドハンティング転職の成功例1
・企業:AI企業
・候補者:40歳前後
・ポジション:CFO
・待遇:1200+生株

・転職成功のポイント:
複数のスタートアップ企業から内定。
「コミットを出来る会社はどこか?」「事業成長性が高く、そこに自分は貢献出来るか」といった視点で企業を選択。
社長からすると、背中を預けられるCFOとして信頼が出来るタイプだった。

・入社後の成功ポイント:まだ創業期において、一人目の管理部メンバーとして参画。
入社時はファイナンスの経験などは無かったものの、自走的に動いて、その後の資金調達やIPOに貢献。
専門性の高い仕事をしながらも、自ら枠を広げる活動をしていた他、コミュニケーションを進んで行うことによって、仕事のしやすい環境を自ら作っていった

・その後のキャリア:
改めてスタートアップ企業のCFOとして活躍。
既に1度経験をしているので、前回よりも更に条件が良く、仕事もスムーズに立ち上がっている

▼ヘッドハンティング転職の成功例2
・企業:インターネットサービス企業
・候補者:35歳前後
・ポジション:事業責任者候補
・待遇:1200+SO

・転職時の成功ポイント:
学歴も経歴もピカピカで引く手数多だっただけに、選択肢を1社に絞ることを決めかねていました。
ただ、決断しないこと自体が、今後の自身の人生においてリスクに働くと考えて、転職を決断。
経営陣からも、その決断の仕方で、信頼を勝ち得たように見受けられます。

・入社後の成功ポイント:
まずは、多くの社員と1on1MTGを実施。
会社の現状を知ることと、ファンを増やすことに成功。
その後、事業を成長させる際の協力関係や人材採用面において、大きな成功要因になる

・その後のキャリア:
事業責任者として売り上げを倍増させた後、独立。
転職先の経営陣からも投資を受け、良好な関係を続ける。その後、事業も順調に成長

▼ヘッドハンティング転職の成功例3
・企業:AI企業
・候補者:40歳前後
・ポジション:AI部長
・待遇:1200万円

・転職時の成功ポイント:
まだdeep learningという言葉が一般化する10年以上前、大手広告代理店や外資系コンサルティング会社のオファーが出ながらも、AI企業への転職を決断。
「本気でAI技術をビジネス活用できる環境」「鶏口牛後の環境」が決め手になった。

・入社後の成功ポイント:社内の重要な仕事が集まり、業界でもトップクラスの実績を積む。
社内で昇進するだけではなく、カンファレンスや勉強会に呼ばれる機会も増える。

・その後のキャリア:
名前が売れたことによって、大手外資系IT企業にヘッドハンティングをされる。
現在は海外に在住して、グローバルプロジェクトのマネージャーを務める。

▼ヘッドハンティング転職の成功例4
・企業:Saas企業
・候補者:45歳前後
・ポジション:事業責任者候補
・待遇:3000万円

・転職時の成功ポイント:
大手企業から5000万円以上のオファーが複数獲得。
また、自身としても創業及びバイアウト経験があることから、経営者視点を持って企業を選定。
結果的に、自身が最も身につけたいと考えていた業界感が手に入る、最も年収が低い会社を選択。

・入社後の成功ポイント:
その方の目的が、その会社で偉くなることでも、年収を上げることでもなく、新しい領域を切り開くことだったので、未開の地で、アウトプットとインプットを高速稼働。
また、経営視点を活かして、会社としての成果を出すことが大事であることや、ステークホルダーへの働きかけを行うことで周りからの信頼も獲得。

・その後のキャリア:
実績と信頼を勝ち得たことによって、結果的に、COOに就任して、会社全体の成長に貢献。

▼ヘッドハンティング転職の改善例1
・企業:EC企業
・候補者:40歳前後
・ポジション:COO
・待遇:2000万円

・転職時のポイント:とにかく実績があり、優秀な方だったので、企業側も三顧の礼をもって、迎え入れる。
候補者側も「そこまでお誘いいただけるのであれば」と入社を決断。

・入社後のポイント:
候補者側は「会社を変えてほしい」と言われたので、今までの実績を踏まえて正論を伝える。
一方で、社長側は「まずは実績を得て、信頼を得てから、会社を変革してほしい」という考え。
候補者側は、「間違った仕組みで、実績を出すことは難しいし、そもそも変えるために入社をしたのでは?」という食い違いで反論。

・その後のキャリア:
双方、正しいことを言っているので、譲らなかった。
コミュニケーションを重ねたものの、1年後に、双方のために別れた方が良いと考えて転職。
当該候補者の方は、独立をして、色々な会社のコンサルとして一定の成功を収めている。

▼ヘッドハンティング転職の改善例2
・企業:AI企業
・候補者:40歳前後
・ポジション:営業責任者候補
・待遇:1500万円

・転職時のポイント:
経営者の近くで働きたいと考えて、メガベンチャー企業からスタートアップ企業へ転職。
会社の規模感を小さくする代わりに、ポジションアップを狙う。

・入社後のポイント:
大手企業における100名の部署マネジメントと、スタートアップにおける100名の全体マネジメントは、責任の意味合いや決めるべき内容が異なる。
自分では出来ているつもりでも、周りからの評価は限定的。「評価されないのであれば」という形で、1年後に転職。
一般的には、自己評価よりも他者評価のほうが正しいことが多い(そもそも、評価は他人がするもの)。複数人から同様の評価をもらった場合には、汲み取る必要がある

・その後のキャリア:
自己評価に見合う環境を探して、転職を繰り返してしてしまう。
周りに迎合しすぎると突き抜けた成果は生まれない可能性がある。
ただし、多くの場合、客観的評価を汲み取ったほうが良い。

【ヘッドハンティングサービスの選び方】

ヘッドハンティングサービスを選ぶ際には、自身のキャリア目標や求めるサービスの質に合ったエージェントを見つけることが重要です。
以下のポイントを考慮して、最適なヘッドハンティングサービスを選びましょう。

  1. 業界の専門性
    自分が活躍している業界や専門分野に強いヘッドハンティング会社を選びます。特定業界に特化したヘッドハンターは、その分野の市場動向や求人情報、企業文化を深く理解しており、より適切なキャリアアドバイスや職位の紹介が期待できます。
  2. 提供されるサービスの範囲
    キャリア相談から履歴書の添削、面接対策、条件交渉まで、どのようなサポートを提供しているかを確認します。自分のニーズに合ったサービスを提供する会社を選ぶことが重要です。
  3. 成功実績と評判
    ヘッドハンティング会社の成功実績や業界内での評判を調査します。実際にサービスを利用した人のレビューや評価を参考にし、信頼できる会社を選びましょう。
  4. コミュニケーションと相性
    ヘッドハンターとのコミュニケーションがスムーズかどうか、相性が良いかも重要なポイントです。初回の相談や面談を通じて、自分のキャリア目標を理解し、サポートしてくれるかを感じ取ることができます。
  5. 個人情報の取り扱い
    ヘッドハンティングサービスを利用する際には、履歴書や職務経歴などの個人情報を提供します。個人情報の取り扱いに関するポリシーを確認し、信頼できる取り扱いをしている会社を選びましょう。
  6. feeの透明性
    サービス利用に際して発生する費用や、成功報酬などのフィー構造が明確かどうかも確認する必要があります。後から予期せぬ費用が発生しないよう、事前にしっかりと確認しましょう。

ヘッドハンティングサービスを選ぶ際には、これらのポイントを基に慎重に検討することで、自分のキャリアにとって最適なサポートを受けられる会社を見つけることができます。

【ヘッドハンティング転職の総括】

一昔前と比べるとヘッドハンティングでの転職は一般化してきたと言えます。
実際に転職をしなくても、自身の選択肢を知る意味でも、知識や刺激を得る意味でも、良い機会にしていく事が出来ると思います。
今回紹介しました内容が、少しでもヘッドハンティングへの理解と活用方法に繋がれば幸いです。

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