ヘッドハンティング転職の意味と、成功させる方法【後編】

▼最初に結論
ヘッドハンティングを通じた転職には、メリットとデメリットの両方があります。自身や自社にマッチした活用方法が重要です。ここではそれぞれを整理してみましょう。
▼ヘッドハンティングの流れの一例
そもそもヘッドハンティングとは、企業が事業成長や課題解決を解決するための人材を採用するために、自社もしくはヘッドハンターを活用して、転職を促すことを意味します。特定個人を採用しに行く場合もありますし、自社ニーズを満たせるスキルセットや経験を持つ個人を言語化して、数名〜数十名の候補者をリスト化。そのリストで、改めて採用ニーズを整理し直した上で、候補者の方々にアプローチをしていきます。
当然アプローチをした全ての候補者に会える訳ではないです。「転職を考えていない」「そもそも、その人との連絡が取れない」などのケースも多いです。また、ようやくお会い出来たとしても、話をした上で断られる場合や、会ってみたら採用ニーズと違った、という結論になることも多々あります。
あくまでヘッドハンターを活用した一例ですが、以下のイメージです。
- 企業の採用ニーズを持たせそうな候補者のリスト化に50名
- 再度の打ち合わせで30名に絞る
- アプローチしてヘッドハンターがお話が出来るのが10名
- 企業側に、お引き合わせることが出来るのが3名〜5名
- そのうち、最適な候補者にオファーを出し、ダメなら次の候補者にオファー
上記は凄くシンプルなイメージです。入社後のフォローや、事前の(戦略)コンサルティングなどで、膨大なノウハウやサービスを提供しているプロフェッショナルファームもあります。また、これらは企業側もヘッドハンター側も膨大な打ち合わせ時間や、候補者のリストアップ、アプローチ、アレンジに時間がかかります。ヘッドハンティングにリテーナーと言われる前金が発生するケースがありますが、これは、上記の時間や労力への対価です。
また、ヘッドハンターを「サーチファーム」と呼称する場合もありますが、これは、「探す(サーチ)」というものが非常に難しく、価値が高いことを表したものだと思います。
▼ヘッドハンティングで転職をするメリット、デメリット
メリット
・高いマッチング精度:ヘッドハンターは企業の事業成長や、そのために必要な人材像を把握している事が多いです。その具体的なニーズに沿って提案される職は候補者のスキルセットやキャリアの目標と高いマッチングを示すことが多いです。
・キャリアアップの機会:シンプルに、現職や他社よりも良い環境でなければ転職する必要がないため、転職によってキャリアアップや給与アップを実現できる可能性があります。
・スムーズな転職活動:どのような情報を収集するか、どのように自分の考えを整理して言語化するか、どのように自分が判断するべきか、条件や入社日などの調整の仕方などは多くのヘッドハンターはノウハウを持っています。
・壁打ち相手:転職やキャリア、年収などについては知り合いに言いづらい部分があります。プロとして話を聞いてもらえること、情報を外部に出さないことなどは、多くの人達にとってはメリットになるはずです。
デメリット
・ヘッドハンターとの相性:多くのヘッドハンターは全力で考えて動いてくれていると思いますが、考え方の相性が合わない場合もあります。例えば、私の場合、「所属よりも、価値創出」と言っている分、「次の会社で骨を埋めたい」「仕事内容よりも、ワーク・ライフ・バランスを重視します」という人とは相性が合わないです。長期的に考えるとそれらの考え方が、その候補者のためにならない場合が多いからです。
・その企業と合うか:企業側の社風や経営陣やメンバーとの相性は確認が必要です。今後、長い時間を一緒に過ごせそうか、近い価値観で物事を判断出来るかを、面談、面接、会食などを通して擦り合わせする必要があります。
・目標が合うか:例えば、事業部の売り上げを2倍にするという目標でも、そのスケジュール感が3年なのか5年なのかで意味合いが変わります。仕事内容やポジションだけでなく、実際の成果やタイムスケジュールも擦り合わせをした方が良いと思います。
・転職のタイミング:候補者自身が転職を考えているタイミングと必ずしも一致しない場合があります。仕事の進め方や引き継ぎなどで調整が必要になってくることもあります。
要約すると、全ての判断は自分が出来る部分が多いので、それほど大きなリスクはないと思います。ただ、間違った認識をして入社をすると、お互いにとって不幸になるので、擦り合わせをした方が、成功する確度は高まると思います。
▼ヘッドハンティング転職の成功例・改善例
成功例1:AI企業 CFO(40歳前後)
【待遇】1200+生株
【転職成功のポイント】複数のスタートアップ企業から内定を得る中で、「コミットを出来る会社はどこか?」「事業成長性が高く、そこに自分は貢献出来るか」といった視点で企業を選択。社長からも背中を預けられるCFOとして信頼を得ました。
【入社後の成功ポイント】創業期の一人目の管理部メンバーとして参画。ファイナンス経験は無かったものの、自走的に動き、その後の資金調達やIPOに貢献。自ら枠を広げる活動とコミュニケーションによって、仕事のしやすい環境を自ら作っていきました。
【その後のキャリア】改めてスタートアップ企業のCFOとして活躍。既に経験があるため、前回よりも更に条件が良く、仕事もスムーズに立ち上がっています。
成功例2:インターネットサービス企業 事業責任者候補(35歳前後)
【待遇】1200+SO
【転職成功のポイント】引く手数多な経歴ゆえに選択肢を絞りかねていましたが、決断しないこと自体がリスクと考えて転職を決断。その決断の仕方で経営陣からの信頼を勝ち得ました。
【入社後の成功ポイント】多くの社員と1on1MTGを実施し、現状把握とファン作りに成功。その後の事業成長における協力関係や採用面で大きな成功要因となりました。
【その後のキャリア】売上を倍増させた後に独立。転職先の経営陣からも投資を受け、良好な関係を続けながら事業を順調に成長させています。
成功例3:AI企業 AI部長(40歳前後)
【待遇】1200万円
【転職成功のポイント】10年以上前、大手広告代理店等のオファーがある中で「本気でAI技術をビジネス活用できる環境」「鶏口牛後の環境」を決め手にAI企業へ転職。
【入社後の成功ポイント】社内の重要な仕事が集まり、業界トップクラスの実績を蓄積。社内昇進だけでなく、カンファレンスや勉強会に呼ばれる機会も増えました。
【その後のキャリア】名前が売れたことで大手外資系IT企業にヘッドハンティングされ、現在は海外在住でグローバルプロジェクトのマネージャーを務めています。
成功例4:SaaS企業 事業責任者候補(45歳前後)
【待遇】3000万円
【転職成功のポイント】5000万円以上の複数オファーがある中、自身の経営者視点に基づき、最も身につけたい業界感が手に入る、あえて年収が低い会社を選択。
【入社後の成功ポイント】目的が「新しい領域を切り開くこと」だったため、アウトプットとインプットを高速稼働。経営視点を活かしてステークホルダーへ働きかけ、信頼を獲得しました。
【その後のキャリア】実績と信頼により、結果的にCOOに就任して会社全体の成長に貢献しています。
改善例1:EC企業 COO(40歳前後)
【待遇】2000万円
【ポイント】三顧の礼で迎え入れられ入社。「会社を変えてほしい」という依頼に対し正論を伝える候補者と、「まずは信頼を得てから変革してほしい」という社長の間で食い違いが発生。双方が正しい主張を譲らず、1年後に離別。現在は独立してコンサルとして成功されています。
改善例2:AI企業 営業責任者候補(40歳前後)
【待遇】1500万円
【ポイント】メガベンチャーからスタートアップへ、規模を小さくする代わりにポジションアップを狙い転職。しかし大手とスタートアップではマネジメントの責任の意味合いが異なり、周りからの評価は限定的に。「評価されないのであれば」と1年後に転職しましたが、その後も客観的評価を汲み取れず転職を繰り返す結果となりました。評価は他人がするものであるという認識が重要です。
▼ヘッドハンティングサービスの選び方
以下のポイントを考慮して、最適なサービスを選びましょう。
- 業界の専門性:自分が活躍している業界や分野に強い会社を選びます。市場動向や企業文化を深く理解しているため、適切なアドバイスが期待できます。
- 提供されるサービスの範囲:キャリア相談から履歴書添削、面接対策、条件交渉まで、自分のニーズに合ったサポートがあるか確認します。
- 成功実績と評判:会社の成功実績や業界内での評判、利用者のレビューを調査し、信頼できる会社を選びましょう。
- コミュニケーションと相性:ヘッドハンターが自分のキャリア目標を理解し、スムーズにやり取りできるかを感じ取ることが重要です。
- 個人情報の取り扱い:ポリシーを確認し、信頼できる取り扱いをしている会社を選びましょう。
- feeの透明性:費用や成功報酬などの構造が明確か、事前にしっかりと確認しましょう。
▼ヘッドハンティング転職の総括
一昔前と比べるとヘッドハンティングでの転職は一般化してきたと言えます。実際に転職をしなくても、自身の選択肢を知る意味でも、知識や刺激を得る意味でも、良い機会にしていく事が出来ると思います。