CXO転職のポイントと、対応方法

目次

【CXO転職におけるコツや落とし穴】

CXOとはどのような役割なのか、なぜCXO求人が増えているのかなどを踏まえて、転職前の準備、面接の成功例や失敗例、必要なスキル・経験など、CXOを目指す方に役立つ情報を提供します。

【CXOの定義】

前提として、CXOとは、企業の業務や機能の責任者を表す総称で「最高〇〇責任者」と訳されます。例えば、CEOは最高経営責任者、CTOは最高技術責任者、CFOは最高財務責任者などです。
CxOは、欧米の企業でよく使われる役職名で、日本では取締役や執行役員などと兼務することが多いです。また、それぞれの分野において専門的な知識と経営的な視点を持ち、経営戦略の立案や実行に責任を持つ役職です。

【CXO求人が増えている理由】

昨今、生え抜きの社員だけではなく、中途採用によっての経営層を獲得する事例が増えています。
なぜCXO人材を求めているのか、それは、「ビジネスで勝つため」「変化に対応するため」です。
もう少し具体化してみます。

▼成長フェーズの変化に応じた人材採用

シーズ、PMF、グロース、IPO前後、パブリックカンパニーなど、企業の成長フェーズに応じて、必要な人材、強みを発揮できる人材が変化していきます。例えば、新しい事業を生み出すことが得意なタイプと、既に型化された組織の中で成果を出していくタイプの方は全く異なります。企業側と働く人材側の両方にとって、強みが発揮できるタイミングで参画するほうがお互いにハッピーになるだろうということで、ハイレイヤーであっても転職をしていくことや、外部から採用することが増えています。

また、スタートアップ企業の中には、創業者が社長を辞任して、新しい事業作りを始めることも増えていて、創業者や社長すら交代する時代なので、CXO採用が増えてくるのは自然なことだと言えるかもしれません。

▼グローバル化と多様化

グローバル化が進んでいく中で、日本企業も世界基準の考え方、物事の進め方が増えてきました。例えば、国籍や性別などを超えた人材採用と活用です。
また、マーケットも競争も世界基準になっていくので、そこに適合するために、より多様な経営層の経験や視点を求めるようになっています。これにより、日本の経営層も海外での経験や異業種での経験を持つ人材を積極的に採用する動きが増えています。

▼新しいビジネスモデルと技術革新

デジタル技術の発展や新しいビジネスモデルの台頭により、従来の産業やビジネスが大きく変化しています。これに伴い、企業は新たなリーダーシップや経営戦略を求め、そのために経営層の人材をリフレッシュする動きが見られます。

▼労働市場の環境変化

日本の労働市場では、人手不足や少子高齢化などの要因により、優秀な人材の確保がますます難しくなっています。そのため、企業は競争力を維持するために、魅力的な経営層のポジションを提供し、人材の流動性を高める動きが見られます。

▼働き方改革と多様なキャリアパス

日本政府の働き方改革の推進や、働き手の多様なニーズに応える取り組みにより、キャリアパスが多様化しています。特にコロナ禍を経て、リモートワークや副業などの活用割合が増えた印象です。経営層も、より自己実現やワークライフバランスを重視する人材が増えており、そのために転職を考えるケースが増えています。

▼これらの要因によりCXO求人は増えている

これらの要因が組み合わさり、日本における経営層の転職が増えていると言えます。経営層の転職が増加することで、組織やビジネスのイノベーションが促進され、日本の経済や企業活動の活性化に寄与すると期待されています。
また、CXOとして面接を受ける時や、入社した場合には、「事業を勝たせること」「変化に応じること」を改めてコミットする気持ちを持つことが大事だと思います。

【CXO転職面接のポイント】

これはCXO転職に限った話ではありませんが、重要なことは、事業成長に寄与すること、周りと連携を取ること、責任を取ること、です。
また、西郷隆盛の「功ある者には禄を与えよ、徳ある者には地位を与えよ」の言葉に象徴されるように、社長は経営層には、優秀さ以上に、人格を求める傾向があります。
人格が無いと組織全体が誤った方向に進むか、メンバーのモチベーションが下がります。
優秀な人材は、傭兵的な採用やコンサル契約でも可能ですが、会社の基盤となりうる経営幹部は、人格を備えて、チームとしての力を最大化することが求められます。
人格は、言語化して伝えるというよりも、その人の言動から、周りの人が感じ取る部分も大きいと思います。
CXOの方々は、企業の経営戦略やビジョンを担う重要な役割だと認識をして、自分の専門性や経験を活かしてどのように貢献できるかを言語化するだけではなく、実際に行動に起こして、結果を出す必要があります。
ただ、これだけですとただの一般論止まりとなります。もう少し具体的な成功イメージを持っていただくためにも、当社が支援したケースを紹介します。尚、参考にきっとなるはずですので、成功例だけでなく失敗例もお伝えしようと思います。

▼面接における「成功」事例1

当然ですが、入社をすることよりも、入社後に活躍をすることが重要です。
企業側・人材側の期待値がズレることなく、仕事内容だけではなく、アウトプットの期待値も握る必要があると思います。
特にCXOクラスはミッションの抽象度が高い場合もあるので(要は、担当する領域で、最大のパフォーマンスを出してほしい)、当面のゴールを擦り合わせていく必要もあると思います。

例えば、事業責任にコミットをすると言っても、
「現在10億円の事業を、3年で30億円に成長させる」と
「現在50億円の事業を、3年で100億円に成長させる」だと、
意味合いや、やるべき事が全然変わってくると思います。
仕事内容だけではなく、その成果イメージやスケジュール感なども掴みながら、
「個人としての役割」「今後の事業成長や、課題感」「実際に、どのようにビジネスが動いているか」
などの解像度を高めて頂ければと思います。
経営者同士の会話だと、どうしても抽象度が高かったり、ビジョナリーな話に寄ってしまう部分があるので、現場の営業マンの話を聞いてみて、実際のお金の流れや、商談で起きていることを理解しても良いかもしれません。

▼面接における「成功」事例2

CXOクラスとはいえ、全員が能弁でなければ、面接が上手い訳でもないです。
たとえば、CTOやCFO経験者であっても、専門性の高さに強みを持って成果を出してきた方々の中には、朴訥とした話し方をする方々も珍しくないです。
例えば、スキルフルなCTOが、コミュニケーション能力が高いVPoEと一緒に仕事をして、相互補完して成果を出してきた事例も少なくないと思います。
自分が面接が得意ではないと感じる方は、無理に面接という場に合わせすぎる必要はなく、場合によっては、「ワークサンプル」や「提案資料作成」などを積極的に行って、面接力ではなく、実践力を見せつけて入社をする形も一つだと思います。
経歴書を丁寧に書く方は多いですが、経歴書は、あくまでも過去のことです。
企業側にとって重要なのは、未来なので、経歴書を丁寧に書く時間があれば、提案書を書く時間に費やしたほうが高い評価を得ると思いますし、入社後のズレも少ないです。
とある会社のCFO候補として入社をした方は、IPO準備前の企業に対して、現状の課題感を出来るだけ並べていただいた上で、自身が入社をした場合には、どのタスクを、どのスケジュール感で対応が出来そうかを粛々とお話をされて、CFOとして入社をして、入社後もご活躍をしている事例があります。

▼面接における「失敗」事例1

CXO面接に限らないですが、利己的に見える方は敬遠される事が多いです。
会社の事業成長よりも、ご自身の年収、ポジションが何より重要であり、受けている企業やポジションは、ある意味でキャリアとしてのステップとして認識をしているケースです。
以前、スタートアップ企業のCFO候補として、数十名ほどの外資系金融やファンドでファイナンスをやっていた方々を紹介した事がありますが、キャリアに関しての考え方の相違で、全員がお見送りになった事があります。
CXOでありながらも、組織へのコミットメントが弱く見えますし、最終責任者としてお任せするには、リスクが大きいです。
世界水準だと、キャリアのワンステップとしての面接も一般的かも知れませんが、日本の多くの企業においては、特にCXOクラスであれば、事業成長を最優先にする考え方が好まれると思います。

▼面接における「失敗」事例2

同じように、自己評価が高すぎる方も敬遠される事が多いです。
「なんで数十億円の事業を作ってきたのに、年収が数千万円無いのか」
「CXOよりも、実質的な仕事をしてきたのに、なぜ、自分はCXOではないのか」
実際に、その方々が言っている事が正しい場合もあります。
ただ、多くの場合、評価は周りの方々がするもので、客観的な判断が正しいです。
少なくとも2人以上に、同じ評価をされた場合には、一旦は、飲み込んだほうが良いかもしれません。
待遇面や評価が、その人の希望に達しない場合には、不満分子になる懸念も繋がるので、自己評価と他者からの評価は繋ぎ合わせたほうが良いかもしれません。

【CXOキャリアを成功させるポイント】

CXOとしてオファーを受けた場合、それはスタートに過ぎず、CXOとして新たな環境にジョインしてからが本番です。CXOとしてキャリアを伸ばすために重要なポイントを整理しましょう。

▼企業成長にコミットをする

COOなどのビジネス成長であれば数字を伸ばすこと、CTOであれば技術力を高めてより良い製品開発などに繋げること等、立場は違えど、企業成長にコミットをする事が大事です。
「結果は全てを癒やす」ではないですが、企業が成長したり、目標としている数字が出ている限り、多くの問題が解決することが多いです。

▼企業の成長フェーズの違いへの対応

新しい環境に飛び込んだ場合、これまでの経験を活かすことは非常に大事ですが、アンラーニングして転職先企業が取り組んでいる技術や事業領域を理解することが必須です。
また、最新の業界動向や市場の変化にも敏感であることが求められます。 転職先特有の用語やトピックに精通することで、新しい環境での円滑なコミュニケーションが可能になります。
特に、スタートアップと大手企業では求められるスキルやアプローチが異なります。スタートアップの環境に飛び込んだのなら、リソースの少なさからフレキシブルな対応力が求められますが、大手企業では複雑な組織構造や大規模プロジェクトの経験が重要視されることがあります。 
転職先の企業の規模や文化に適応できるかどうかを事前に考慮することが肝要です。

▼リーダーシップ、業務管理能力、コミュニケーションスキル

リーダーシップと同様に、業務管理能力やコミュニケーションスキルも重要です。
リーダーシップがゴールを指し示すことだとすれば、業務管理能力やコミュニケーションスキルは、そのプロセスを進む意味では、制度や風土を作るという意味で、不可欠です。

また、CXOとなると、異なる部門やバックグラウンドを持つメンバーと協力しビジョンを共有する必要があります。 効果的なコミュニケーションスキルを身につけ、異なる専門性を持つ人々と共に働く準備を整えることが成功の鍵となります。

【CXO転職のメリットとリスク】

もしCXOとして転職したなら他のポジションでは得られない経験やスキルが身につくことでしょう。そのような魅力がある反面、事前に知っておきたいネガティブな面があるのも事実です。
CXO転職のメリットとリスクを整理してみましょう。

▼メリット
コミットをした企業の成長を通じて、社会や顧客、同僚たちに貢献していく事が出来る
自分の専門性や経験を活かして、より大きな責任と裁量を持ってビジネスをドライブさせる中で、やり甲斐を感じることが出来る
スタートアップやベンチャー企業に参画して、IPOやM&Aなどの成果に直接関与できる。
企業の成長とともに、年収アップやストックオプションなど将来的に大きな収入を得るチャンスがある。

▼リスク
早期に成果を出すことへのプレッシャーが強い。
例えば、CFO理解が乏しいCEOが、初めてCFOを採用した場合など、どのように仕事をお願いして、どれだけの成果を期待して良いかの抽象度が高い(→過分な成果を求められることがある)
環境が変わることによって、転職先の企業や業界に対する知識やネットワークが不足している可能性がある。
CXOとして入社をしたものの、マネージャー職や現場のメンバーが、これまでのやり方を変えない、今までの仕事の進め方をブラックボックスにするなど、人間関係や相性でのトラブルが起きやすい。

【総括:CXO転職について】

様々な要因により、CXO求人は一昔前と比べ増えています。
そのような中でCXO転職を成功させるには、面接の中で自身の強みと実績をしっかりとプレゼンするだけではなく、実際に入社後に活躍するための解像度を高めた上で、期待値を握ることが大事だと考えています。
また、転職後のCXOキャリアを成功させるためには、アンラーニングし続ける姿勢やリーダーシップなど重要な要素があることもお伝えしました。
新しい環境でCXOとしてジョインすることはプレッシャーも大きく、大変な思いをするかもしれません。ですが、それと比例するように大きな裁量と責任を持って事業を推進できる魅力的なポジションでもあります。
もしCXO転職を考えられているようでしたら、以上の内容を参考にしてみてください。

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