PKSHA Technology社VPoEの森下さんが語る、社会実装への情熱と未来を創る人材とは

フューチャーリンクでは『事業と個人の成長につながるマッチングを』を目指しており、このインタビューではスタートアップやそこで働く人にとって、成長のために必要なことは何かを、様々な視点から紹介します。
今回は、株式会社PKSHA Technology(以下PKSHA Technology社)VPoEの森下さんにPKSHA Technology社の社会実装にかける想いやそこで働く人に共通する価値観、そして森下さん自身のキャリアについてお話を伺いました。

人それぞれのワクワクが、未来のソフトウエアを形にする

---PKSHA Technology社が事業成長する上で人材をどう考えているのか教えてください。
森下さん:当社は、ミッションに「未来のソフトウエアを形にする」を掲げており、最先端技術をソフトウエアとして実用化し、社会に届けることを事業としている企業です。AIという技術は、現時点では未来のソフトウエアに最も重要な技術であり、これを活用してビジョンに掲げている「人とソフトウエアの共進化」を実現したいと考えています。当社の特徴としては、事業領域や業界を絞っておらず、あらゆる業界の企業と協力してAIソリューションを生み出したり、AI SaaSや自社事業という形でもAIを社会に届けるなど、多岐に渡る形で事業を行っている点が挙げられます。また、社会実装に必要な技術の研究にも力を入れており、その成果を事業活用するだけでなく学会発表やOSSを通じて社会に届けることも行っています。こういった様々な活動を通じて社会に未来のソフトウエアを届けていければと考えています。そして、これらを実現するためには様々な人材が必要です。当社では個々人が持つwillや個性の力を重要視しているのですが、人によって楽しいと感じること、面白いと思うことはそれぞれ違います。様々な興味を持つ人が集まり、それを活かして様々な形で社会を未来に進めていくことが大切だと考えています。


---PKSHA Technology社の中では、どのようにプロジェクトは立ち上がって行くのでしょうか。
森下さん:基本的にはお客様が持つ業界課題と、我々が持つ最先端技術で解決出来ることの掛け合わせ、ニーズとシーズがマッチしたところからプロジェクトが立ち上がります。当社では一人のアルゴリズムエンジニアが「最先端技術の研究業務」と「企業と協力した社会実装プロジェクト推進」を並行して行うことが多いです。様々な専門性を持つ社内の仲間と共同で研究することで、どのような未来の技術が生まれているのか、またそれは社会でどう活用され得るのかを探索します。一方で、本質的な社会価値創造のために、お客様との協働も大切にしています。お客様のニーズをヒアリングして課題解決を望むときに、その要望通りにアウトプットするだけではなく、お客様の視点や事業をよく理解し、その業界を3年先の未来はどう進化するかを考え、それを踏まえて今作るべきソフトウエアを提案します。未来から逆算することで、今、私たちが提供できるものがお客様にどのように役立つかが見えてきます。様々なニーズに応えるために、我々が提供できるものを研究によって増やしています。

---プロジェクトを進めるときはチームで進めるのですか?
森下さん:ソリューションでは主に3種類の役割を持ったメンバーがチームで進めていきます。まず、ビジネスデベロッパーがどうしたらお客様の事業が一番成長するのかを考え、アルゴリズムエンジニアがその成長に向けてどういうデータを活用して、何を実現できるのかを探索します。そして、ソフトウエアエンジニアが、そのアルゴリズムを数年先まで使い続けてもらうソフトウエアとして作り上げます。こういった表現をすると順番に活動しているかのようですが、実際には一番最初のビジネスを検討するところからエンジニアも参画し、議論を通じて意見が組み込まれています。提案段階からアルゴリズムやソフトウエアの完成した姿を解像度高く持っておくことが、私たちが全てのプロジェクトで意識していることです。

---わかりやすい事例はありますか?
森下さん:最近力を入れている事例の1つはコンタクトセンターの次世代化でしょうか。コンタクトセンター領域は労働力不足の解決方法としてAI技術の活用が期待されており、近年急速に技術が進歩している自然言語処理や音声認識などによって、そこで働く人々の生産性を劇的に高めるソフトウエアを開発しています。そこではAIが人の仕事を奪うような形ではなく、人とAIがそれぞれ得意なことをし、またお互いに学び合って共進化していく形があるべき姿だと考えており、開発を通じてそういった未来の働き方に向かっている実感を持つことが出来ています。

---社会実装というキーワードを掲げていますが、社会実装ができた瞬間とはどんな時ですか?
森下さん:基本的には、我々の開発したAIやソフトウエアによって、それを利用する人の生活や働き方が良い方向に変化した時だと考えています。AIの開発をお客様から受注した時点で事業成果は出ているのですが、精度の高いAIを作り、ソフトウエア化し、人とソフトウエアが協調する仕組みも整え、現実世界で長く使い続けてもらえている、という一段先の状況を目指すことにビジネスデベロッパーもエンジニアも目を向けており、その価値創造を実現出来ていることが当社の強みだと思います。

---社内で共有している価値観やスタンスはどのように考えていますか?
森下さん:私たちのミッションは「未来のソフトウエアを形にする」で、ビジョンは「人とソフトウエアの共進化」としています。社会実装が好き、技術の進歩にワクワクしていて、それで社会をどう変えられるか考えるのが楽しい、というのは共通の価値観かと思います。またもう1つに人と人との共進化を大切にする文化があります。自分のやりたいことがあって、自分のスキルもあっても、それだけでは個人開発に留まります。それを社会に価値をもたらすものにするためには、自分とは異なるスキルを持つ人を尊敬し、協力することが重要です。社内の人同士のコミュニケーションや相互理解するための時間をとても大切にする組織なのですが、人と人との共進化が生まれてほしいという思いが反映された結果だと思います。

社会実装を通して、世の中の人々の感情が変わるような体験を作り出す

---森下さんのこれまでのキャリアについて教えていただけますか?
森下さん:私は27歳で大学院の博士号を取得するまで、研究が楽しくて仕方なく、自分が興味深いと思う分野の研究に没頭していました。一方でその研究で得た技術を社会に届けたいという思いが、博士課程の時点で芽生えてきました。そのため、アカデミアではなく、より社会に近い道を選び、最初は大手企業に研究職として入社しました。しかし、より裁量があり、スピード感が速い環境に身を置きたいと考えて、転職を決意しました。二つ目はベンチャー企業でスピード感のある事業が出来ていたのですが、ハードウエアがコアとなる事業であったため、コスト競争が激化し、事業としてうまくいかない部分もありました。そのような中で、ハードウエアよりもソフトウエアの方が、小さな会社でも大きな価値を出せるチャンスが多いと感じ、3年目にソフトウエアの中でも盛り上がっていた機械学習を始めました。それは非常に面白い経験でした。

---それは興味深いですね。現在のPKSHA Technology社に入社した理由を教えていただけますか?
森下さん:私はもともと、高い技術力を持ち、社会価値を創造することに焦点を当てた会社に入りたいと思っていました。その中で、未来のためにAI技術が必要で、それを社会に向けて価値に変えていくことに圧倒的なこだわりを持っていたのがPKSHA Technology社であり、それが、私がやりたいと思っていたことと一致し、入社に至りました。

---入社後の経験はどうでしたか?
森下さん:入社後は、様々な機械学習アルゴリズムを用いて社会実装の事例を作ることに従事してきました。アパレル、金融、教育事業など、さまざまな分野でAIの開発を行い、今でも使われ続けているものも多くあります。教育業界ではベネッセさんと高校生向けにAIを活用した学習を提供するスマートフォンアプリをゼロから立ち上げるといった取組も行いました。ベネッセさんの長年の教育ノウハウを軸に、AIが人に合わせて出題を個別最適化する仕組みなのですが、そこで動くモデルは今でも学生が生み出したデータを日々学習して改善され続けています。

---森下さんのこれまでのキャリアをお聞きすると、社会実装やアウトプットへのこだわりがありそうですが。
森下さん:はい、そうですね。子供の頃から、電化製品やゲームなどの技術の進歩にワクワクしていました。その進化を経験し、感情が揺さぶられるような体験を沢山してきたので、僕も技術によって世の中の人々の感情が変わるような体験を作り出すことをしたいなと学生時代から考えていました。研究の世界で、技術は進歩し続けています。しかし、その多くはまだ世の中では使われず、より良い製品や体験が作れるはずなのに、変化が人々には行き届いていないというギャップがあります。そのギャップを埋めるために、面白い最先端技術が社会実装されて人の役に立つまでのハードルを越えたいということが、私がやりたいことです。

---転職活動をする際、松井さんの関わりやサポートはいかがでしたか?
森下さん:転職活動をする際、松井さんにもお世話になりましたし、他のエージェントの方とも話をしていました。松井さんと活動を一緒にしていく中で印象的だったのが、私が持つスキルだけではなく、私のキャラクターと会社のカルチャーが合うかどうかという視点を凄く大切にされている点です。松井さんから2社を薦められ、1社はPKSHA Technology社で、もう1社は、実は私が大学1年の時から仲良くしている親友が経営者の会社でした。当然松井さんは、関係を知らないわけですから、「この経営者と森下さんは絶対仲良くなれると思うんですよ!」と勧められてシンプルにこの人すごいな、と思いました。他のエージェントの方は、あなたのスキルなら、この会社が高く評価してくれるというアプローチだったのですが、松井さんは候補者のwillやカルチャーでマッチングされており、自分ではなかなか見つけられない選択肢が発見されるとても良いアプローチだと思います。

---森下さんの話を聞いて、松井さんはどのように思いましたか?
松井さん:森下さんは、褒めてくれたのですが、正直、私は森下さんに関しては、あまりサポートをした部分はないのです(笑)。森下さんは、優秀で善性が高いですし、言語化能力も高いです。多くの会社が求める人材だと思いますし、面接での評価も非常に高かったです。PKSHA Technology社は、そのような森下さんが満足度高く働ける環境だと思ったので、企業紹介だけが私の仕事で、あとは、当事者同士が進めていった感覚に近いです。
ただ、これで良いのだと思います。候補者の方と企業側の相性が良くて、当事者同士で物事が進むことが一番良いマッチングですし、逆にエージェントが強力に介在しないと成立しない相性は、入社後に、どこかで綻びが出ることが多いです。
私が森下さんに提供できたサービスは、最初のご紹介と、その後の年収や入社日の調整、退職時の対応方法くらいかなと思います。
ただ、経営者レベルや優秀な候補者の方だとしても、全員が森下さんのように言語化するのが得意な訳ではないと思います。特に転職や面接という非日常の場における言語化は、仕事とは別の場数が必要になってくる場合もあります。また、実績があり、優秀な人だからこそ、譲れないラインがあると思います。
そのような方々の言語化のサポートをするのは、私自身が提供できる価値の一つだと思います。
企業の事業成長に対して、各個人が、どのように寄与していけるか、それが、どれだけの価値を持つかという点の解像度を高めて、言語化のお手伝いを行うことが私の仕事の一つだと思っています。
そして、森下さんの場合は、入社後すぐにマネージャーになり、今はVPoEとして活躍されています。森下さんの活躍も嬉しいのですが、その後、PKSHA Technology社に入ったエンジニアの方が本当に楽しそうに仕事している点が嬉しいです。その熱量の高さは、入社後の振り返りミーティングや、やり取りをするメールからも感じることができます。
AI企業は、ともすれば受託的な仕事になったり、面白い上に儲かる仕事というのが少ない場合もあります。それがPKSHA Technology社という会社の立ち位置や信頼により、良質な仕事が出来ていることと、森下さんというマネジメント層がいることで、各個人の適性やキャリアイメージを踏まえて、かなり満足度の高い環境を提供できているのだと思います。

---最後に、今後の展望や目標について教えてください。
森下さん:今後も引き続き、社会に価値を提供できるサービスを作っていくことが目標です。AI技術はどんどん面白く進歩し続けているので、その社会実装によって、広く皆が利用できるAIの価値を高めていきたいと思っています。また、仲間を増やし、チームと共に成長し、新しい社会実装事例を創出する人を増やしていくことにも注力していきたいですね。

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